遺族所見(全文テキスト)

テキスト全文公開に頑張ったTBSに敬意を表します 

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2755070?display=1

 

「怖かったね苦しかったね、悔しかったね」広島・中学2年男子生徒死亡 遺族がコメント公開 学校と県教委に「猛省」求める 第三者委員会の調査報告書受け 

「怖かったね苦しかったね、悔しかったね」広島・中学2年男子生徒死亡 遺族がコメント公開 学校と県教委に「猛省」求める 第三者委員会の調査報告書受け |TBS NEWS DIG

中国放送

2026年6月24日(水) 20:04

国内

2022年8月に広島県立中学校の男子生徒が自殺した問題で、24日、県のホームページに遺族のコメントが掲載されました。

この問題は2022年8月、広島県立中学校に通っていた当時2年生の男子生徒が始業式当日に東広島市内の踏切で列車にはねられ、死亡したものです。

詳細調査を求めた遺族に対して県は2024年、専門家などでつくる第三者委員会を設置し、4月に調査結果が公表されました。

調査報告書によると、男子生徒は大量の課題と厳しい指導に恐怖心を抱き、抑うつ状態に。さらに「叱責されない状態を維持しなければ」という緊張などから危機的な心理状態になったとみられています。

また学校の対応について、教員による連日の叱責のほか、課題の受け取り拒否など学校の不適切な対応を認めました。また、男子生徒が死亡する3ヶ月前に学校が実施した学校生活に関するアンケート(hyper-QU)で「教師との関係」が最低で「要支援群」の判定結果が出ていたことを保護者に伝えず、必要な対応を行わなかったことなどを指摘しました。

※hyper-QUは学級満足度・学校生活意欲度・ソーシャルスキル度からなるアンケート。生徒の心理状況などを測るもので、結果に応じてスクールカウンセラーに繋ぐなどの対応を行う。「要支援群」は早急な個別対応が必要な状態。なお、男子生徒は成績上位を維持し不登校ではなかった。

公開された『遺族所見』で遺族は、「教諭らと、長年この状況を放置してきた学校と県教育委員会には猛省を求めます」としたうえで、「広島県だけでなくこの国が、子ども達の人権を当たり前に守る国になっていることを心から望みます」と綴りました。

遺族によりますと、「所見」は調査終了時に第三者委員会の勧めで寄稿したもので、委員会の承認を得た上で、県の知事部局が掲載を許可したということです。

 

 

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2755070?page=2

 

=『遺族所見』全文=(遺族の許可を得て掲載します)

 

遺族所見

はじめに、たった六人でこの大規模な調査を行い、膨大な資料を精査して二年間で報告書をまとめて下さった第三者調査委員会の先生方に敬意と感謝を申し上げます。

私たち遺族の心情に充分配慮して中立公正にお仕事をして下さったと感じております。三年前、設置要綱を作る前から遺族に関わり、この調査を支えて下さった広島県総務局総務課の皆様にお礼を申し上げます。そして、この調査を知事部局で行うとご判断を下された、湯崎前知事、田辺前副知事、玉井前副知事、横田現知事に感謝いたします。

ありがたいことに、調査報告書に関する遺族の所見表明をご許可いただきました。報告書の内容に不服はございませんが、制度上、記載されなかった事柄について補足させていただきます。


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調査委員会の先生方におかれましては、出生時から幼少期にまで遡り、息子のことを理解しようと努めていただきました。そのため資料は母子手帳や保育園の記録を含め8000頁に及んだと書かれています。誠に頭の下がる思いです。

息子と私たちだけでなく、息子の一ヶ月後に亡くなったMさんとNさんのご遺族のために、アンケートと聞き取り調査や署名活動にご協力下さった、のべ一千人の皆様に心よりお礼を申し上げます。

資料の中には、私たち遺族が当該校の背景事情を知るために卒業生や転校生や在校生たちから集めた証言と、アンケート調査の自由記述部分が含まれます。残念ながら報告書には記載されませんでしたが、それは個人が特定されるおそれがあるためであり、事実ではないと言われた訳ではありません。

卒業生、転校生とその保護者の皆様からは、当該校で十年以上前から過量な課題の強要と厳しい指導が続けられてきたこと、大声で怒鳴る・面前叱責や人格を否定する暴言が繰り返されていたこと、体罰があったという証言がありました。この方達は「私たちが当時、勇気を出して声をあげていたら、A君とMさんNさんの事故は防げたかもしれない」との思いから証言してくださいました。在校生からは、息子と同様にB教諭やC教諭の指導に苦しんでいたという証言や、私たちの知らなかった息子に関する詳しい話がありました。


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アンケート調査には、叱責された息子が「毎回のように涙を流していた」ことや、「もう来なくていいと言われた」という記述がありました。他校の保護者の方からも、当該校の不適切な指導を目撃したという証言がありました。MさんとNさんのご遺族も、大変辛いお気持ちを抱えながら調査に協力してくださいました。

B教諭とC教諭だけでなく、当該校で長年にわたり行われてきたこのような「厳しい」指導は、大人の職場であればパワーハラスメントに該当します。文部科学省からは、『池田町における自殺事案を踏まえた生徒指導上の留意事項について(通知)(平成29年10月20日)』において、「児童生徒の特性や発達の段階を十分に考慮することなく、いたずらに注意や叱責を繰り返すことは、児童生徒のストレスや不安感の高まり、自信や意欲の喪失、自己評価、自尊感情の低下を招き、児童生徒を精神的に追い詰めることにつながりかねないことに留意すること。」「教職員による不適切な指導等が不登校のきっかけとなる場合もあるところであり、『義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本方針(平成29年3月31日,文部科学省)』にあるとおり、教職員による体罰や暴言等、不適切な言動や指導は許されないこと。」等、繰り返し戒められているところです。


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令和4年12月に改訂された生徒指導提要(文部科学省)第3章3.6.2懲戒と体罰・不適切な指導 においては、具体例をあげて記載されています。

=不適切な指導と考えられ得る例=

・大声で怒鳴る、ものを叩く・投げる等の威圧的、感情的な言動で指導する。

・児童生徒の言い分を聞かず、事実確認が不十分なまま思い込みで指導する。

・組織的な対応を全く考慮せず、独断で指導する。・殊更に児童生徒の面前で叱責するなど、児童生徒の尊厳やプライバシーを損なうような指導を行う。

・児童生徒が著しく不安感や圧迫感を感じる場所で指導する。

・他の児童生徒に連帯責任を負わせることで、本人に必要以上の負担感や罪悪感を与える指導を行う

・指導後に教室に一人にする、一人で帰らせる、保護者に連絡しないなど、適切なフォローを行わない。

さらに「たとえ身体的な侵害や、肉体的苦痛を与える行為でなくても、いたずらに注意や過度な叱責を繰り返すことは、児童生徒のストレスや不安感を高め、自信や意欲を喪失させるなど、児童生徒を精神的に追い詰めることにつながりかねません。教職員にとっては日常的な声掛けや指導であっても、児童生徒や個々の状況によって受け止めが異なることから、特定の児童生徒のみならず、全体への過度な叱責等に対しても、児童生徒が圧力と感じる場合もあることを考慮しなければなりません。そのため、指導を行った後には、児童生徒を一人にせず、心身の状況を観察するなど、指導後のフォローを行うことが大切です。加えて、教職員による不適切な指導等が不登校や自殺のきっかけになる場合もあることから、体罰や不適切な言動等が、部活動を含めた学校生活全体において、いかなる児童生徒に対しても決して許されないことに留意する必要があります。」と続いています。


https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2755070?page=6


第三者調査委員会が事実認定したB教諭とC教諭らの指導は、他の生徒たちに見える部室・教室や教室前の廊下で行われた面前叱責であり、不安感や圧迫感を感じる場所(職員室)で行われた指導であり、人格を否定する暴言を用いた、生徒の言い分を全く聞き入れない指導であり、保護者に一切連絡のないものでした。

生徒指導提要の改訂が息子とMさんの他界後であるため列記はされませんでしたが、第三者調査委員会はこれらを不適切な指導であったと認めています。

成績優秀で非行行為もなく教師に反抗もしていない息子が、このように詰られなければならない理由があったのでしょうか。息子は、同級生が不適切な指導を受けるところを目撃し続ける環境にいて、自身も不適切な指導を受けたために、心身症や抑うつ状態の発症に至りました。不適切な指導がなければ息子が心を病むことはありませんでした。


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Masumi

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