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面白そうなニュースの枠を超えた面白そうな記事。後で読めるようにコピーしましたが、後日削除予定。
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宇宙で生命はいかにして誕生したのか?
アニメーションを用いてさまざまな事象を科学的に解説するYouTubeチャンネルのKurzgesagtが、「地球の生命はどのようにして誕生したのか?」に関する有力な説を紹介しています。
私たちが知る限り、生命は約40億年前からひとつの惑星に存在しています。
太古の生命はビッグバンの直後、宇宙が今よりもずっと奇妙で幻想的だった時代に生まれた可能性もあるし、地球以外のどこででも誕生することができた可能性もあります。そんな生命の誕生の謎をひも解くための有力な説がいくつか存在します。
そのひとつが「生命のパラドックス理論」です。
誕生してから最初の数億年間、地球は絶えず小惑星が降り注ぐマグマ地獄でした。
その後、最初の海が形成されてからすぐに生命が出現し、何十億もの微生物があらゆる場所に住み着くようになります。
地球上の生命は地球そのものと同じくらい古くから存在するため、これは奇妙なことのように思えます。生命がまるで地球が誕生し海が形成され、生き延びるための環境が整うのを待っていたかのように思えるためです。また、生命は非常に早く出現したというだけでなく、発生までのわずかな時間の中で、すでに大きな進化を遂げていたという点にも謎が残ります。
微生物であっても、生物として認められるには食事・排泄・成長・増殖をする必要があります。そのために必要なのが、生物の内部構造を定めた生物学的取扱説明書であるゲノムです。
ゲノムを持たない死物が、なぜゲノムを持つ生物になったのかは、科学における最大の謎のひとつです。
これがなぜ謎なのかを簡単に説明すると、ゲノムを機能させるにはタンパク質が必要であり、そのタンパク質を作るには機能するゲノムが必要なためです。タンパク質もゲノムも、かなり複雑なブロックからなる超長大な分子であり、偶然組み立つものとは考えにくいためです。
「鶏が先か、卵が先か」のジレンマのように、どのようにして原始の生命が生まれたのかは、大きな謎のひとつであると言えます。
いったん完成した細胞があれば、システム全体は効率的に機能します。しかし、単純な死物から出発して、純粋な偶然によってゲノムを持った高度な生物に到達するには、試行錯誤に驚くほどの時間が必要なはずです。
では、最初の生物はどのようにして、わずか数億年でそのギャップを超えることができたのでしょうか。生命の起源に関するほとんどの理論は、前生物的分子からなる原始的なスープが、自己複製する最初の生命体を効率的に生み出したと理論化することで、そのギャップを説明しようとしています。しかし、それが具体的にどのように機能したのかはわかっていません。そこで、Kurzgesagtは生命の起源を逆から考えています。
ゲノムを生命の歴史を語る書物と考えてみます。
時が流れ、生命が進化するにつれ、より多くの生物が現れます。アメーバ、魚類、両生類、恐竜、哺乳類などなど。
何十億年もかけて、生命の物語はますます複雑になっていきます。
ゲノムは生物学的な命令が書かれた長い文字列と見なすことができ、その長さはほぼ一定の割合で伸びていきます。魚のゲノムの長さはミミズの2倍以上で、人間のゲノムの長さは魚の2倍以上です。
これらの手がかりから分析すると、ゲノムは平均して約3億5000万年ごとに2倍の長さになってきたことがわかる模様。「これはまるで進化が指数関数的な内部時計に従っているかのよう」とKurzgesagtは説明しています。
しかし、さらに奇妙なことがあります。地球上に誕生した最初の微生物は、たとえ単純に見えたとしても、「かなり長く複雑なゲノムをすでに持っていたらしい」ということです。どのようにして生命はそのような短期間でそのレベルの複雑性を獲得したのでしょうか。
この謎を解く面白い方法があるかもしれません。それは「指数関数の時計を過去にさかのぼって、考えられる最も単純な生命体、つまり数文字のゲノムを持つ生命体を外挿する」というものです。
しかし、この方法だと生命の起源は100億年も前までさかのぼることになります。これは生命どころか地球の年齢の2倍以上の数字です。つまり、生命が前述のように進化してきたと仮定すると、それは地球ではなく、宇宙のどこかで始まったということになります。
もしも生命がすでに種子のように宇宙に存在していたのなら、目を覚まして進化を続けるためには、水と暖かい温度が必要だっただけということになります。また、地球上の最初の生命が高度に洗練されていたことも説明できます。
生命が地球よりも古くから存在していた可能性を示唆するのが「ゴルディロックスの赤ちゃん宇宙理論」です。
最も基本的なレベルでは、生命には2つのものが必要です。複雑な分子を形成するのに適した化学元素と、それらの分子が動き、相互作用できる水のような液体媒体です。
液体媒体は、液体の状態を保つのに十分な温度を保つ必要があります。
宇宙で生命を探す時、人間は恒星からちょうど良い距離にある「液体の水が存在するのに十分暖かい地球のような惑星」に注目します。これをゴルディロックゾーンと呼びます。
しかし、太古の昔の宇宙はほとんどすべてのエリアがゴルディロックゾーンだったタイミングがあります。
ビッグバン直後、宇宙は非常に高温でしたが、宇宙が膨張するにつれ温度は冷えていきました。
ビッグバンから約1000万年から1700万年が経過したタイミングでは、宇宙は現在の1000倍も若く、0度から100度の間、つまり水が液体である温度を保っていました。
つまり、137億年以上前のこの時期は、宇宙全体が生命を維持するのに適した温度だったわけです。ただし、適温だけで生命が誕生するわけではありません。炭素や酸素のような化学元素も必要で、それらは星の中心部で作られます。
しかし、ビッグバン直後の宇宙に星は存在したのでしょうか。物質が特に濃い宇宙の領域では、存在した可能性があります。もしもそのような恒星が存在したなら、質量は非常に大きく、わずか300万年で超新星となり、塵・小惑星・惑星・生命の材料を形成するのに必要な化学元素を宇宙に播いた可能性があります。
もしかしたら、生命の最初の祖先はもっとエキゾチックで、水すら必要とせず、アンモニアやエタンのような、0度をはるかに下回る温度で液体状態を維持できる物質で繁栄していたとも考えられます。
このアイデアの真骨頂は、現在の宇宙が生命にとって極めて過酷な環境であるのに対して、当時の宇宙は生命が誕生するための条件が基本的にどこにでも揃っていたかもしれないという点にあるとKurzgesagtは指摘。
このような期間が数千万年も続いた可能性があり、その場合、原始生命はどんな岩石の上でも、星の間でも誕生することができたということになります。
もしも生命が宇宙から地球にやってきたのであれば、太陽系の他の場所に生命が存在している可能性は十分にあります。
火星の乾いた川底や、エンケラドゥスやエウロパの暖かい地下の海で、生命が見つかる可能性があります。
タイタンには、9000万年前の宇宙と同じくらい暖かいエタンとメタンの海、川、湖があります。つまり、タイタンで生命を発見することができれば、宇宙でどのようにして生命が誕生したのかに関する理論を実証することにも近づくわけです。
ただし、今のところ我々人類が宇宙を観測している中で、人間のような存在は見つけられていません。しかしそれは、生命としての複雑さを実現するには100億年以上の時間が必要だったからかもしれません。もしかしたら、微生物でいっぱいの世界、エキゾチックな魚でいっぱいの海、奇妙な動物でいっぱいの大陸が何百万と存在する可能性もあります。
さらに、人間と同じように、つい最近意識を獲得し、自分たちは孤独な存在なのかと空を眺める生命体が宇宙のどこかに存在する可能性もあります。生命は今、数え切れないほどの形態で、あらゆる種類の宇宙環境で繁栄している可能性すらあると、Kurzgesagtは指摘しました。
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